心に残ることば
奥沢2丁目 木村 ゆみ子

  第76号 2019.8.22

 奥沢に生まれ、育ち、暮らして七十年。長い時間が過ぎました。

 私の子供の頃は毎日にように夕方暗くなるまで外で遊んでいたものです。

 近所の子供達五六人が集まり、遊ぶ場所は道路、そして時々は勝手に入り込んだよその家の庭、そのころは生垣のお家が多く、透き間を通って隣の家の庭へ行ったりもしていました。

 大きな声も出していたでしょうし、大勢で走り回っていたのですから、さぞかしやかましかったことでしょう。

 でも「うるさい」とか「静かにしなさい」とか言われたことはありませんでした。

 いたずらもいろいろしていました。今、考えても、どうしてそんな事をしていたのかわからないのですが小さい頃の私はよその家の花を取ったりしてたのです。

 ある日花を一つちぎろうとして引っ張ると、手入れの行き届いた花壇の土はやわらかく、根からすっぽり抜けてしまったのです。

 “しまった”と思っていると家の人が出てきて、「お花が欲しい時はいつでもそう言いなさいね、切ってあげるから」と挟みを持ってきて花をいくつも切ってくれました。私の引き抜いた花は「根から抜けてしまったはかわいそうでしょう。」と元どおり植え直してくれたのです。

 その後の私が花を取らなくなったのは言うまでもありません。

 子供の頃に残る言葉を言ってあげられる大人になりたいな・・・と思っていたのですが、子育ての時期も孫と遊んだ時間もとうに過ぎてしまいました。まだこれからもチャンスはあるでしょうか。