おくさわ今と昔『今』

緑の奥沢
 奥沢2丁目 谷口 小夜子

第6号 2001.11.7  私たちが奥沢に移って来てから、9年目になりました。ようやっと奥沢の住人になれたかしらという所です。  最初に現在住んでいる場所に案内された時は初秋の昼下がりで、人の気配のないとても静かな所という印象でした。  次に来た時は緑ヶ丘の駅に降りましたので、駅前からゆるい坂を登って来る時にあの大欅があって、トトロの木の様だと思いました。大井町線に乗ったのも初めてで、駅と駅の間隔の短さと踏み切りに驚きながら着きましたので、大欅を見てほっとしたのを思い出します。とても気に入っていたのですが、その時はご縁がありませんでした。  駅から歩いて10分以内で、近くにスーパーがあって、出来れば緑が多く静か、このような条件で見て回り、九品仏のお寺の裏に決まりかけた時、もう一度奥沢の話が有り、決まった時は6カ月が過ぎていました。住む所を探し始めて、唯一気に入った所が奥沢2丁目でした。 …

奥沢の街について思うこと
 奥沢2丁目 奥野 健二

第7号 2002.2.15  奥沢に住むようになって5年程経ちましたが、立派な樹木が多く落ち着いた雰囲気の街だというのが第一印象でした。郊外の住宅地より却って緑があるのではないでしょうか。例えば歩いている進行方向を写真にとった場合、画面上ではおそらく樹木の占める割合が最も大きいのではないかと思います。散歩をしていても古いしゃれたお宅、装飾等を発見し奥深さを感じることができます。  日本の一戸建住宅の景観は、木々の間から建物が見えるというのが基本だと考えますが、昨今の経済的な事情その他で土地面積に対し延床面積を大きくする都合上、建物が道路へ寄り、高さも高くなり、建物壁面がどうしても前面に出て来てしまうというのが現状でしょう。建築の壁が前面に出てきた場合、ヨーロッパにおけるようにそれはそれで街を美しく見せる方法があると思うのですが、日本においては伝統的住宅観とのあいだで矛盾が生じ、どちらつかず…

散歩が楽しみなまち
 二丁目 井上 さつき

第8号 2002.5.29  昨年の夏の盛りにここへ転居し、早九ヶ月。ずっと昔から住んでいるような気もしますが、外から、小さな家とやっと堀を越えるエレガンテシマを見ると、やはりまだまだ新参者という気がいたします。  この町に住みたいと、土地を探し始めてから五年以上経ち、やっと念願叶いました。始めは業者の方にも、「あの辺りは、めったに物件がでませんよ。」と言われ半ば諦めた時もありました。探し始めた当時は本当に空き地や建築中は少なかった様に思いますが、最近は随分と空き地や建築中が増えたと思うのは私だけでしょうか。  この辺りは、どの道を散歩しても花や緑が豊かで楽しみです。ご近所のお宅を、娘は花屋さんだと勘違いしていた事もあります。ついつい、私も出かける時は、方向が少し違っていてもそのお宅の前を通りたくなってしまいます。急いでいない時は必ず立ち止まるし、運よくお手入れされている時は厚かましく語り…

みどりは心身の癒し
 奥沢2丁目 寺澤 宏枝

第9号 2002.9.4  奥沢に住んで早15年近くになる。以前下町に縁があった頃は住宅が密集していて、互いの会話が聞こえる中で人情の温かさを感受できた。奥沢は閑静で落ち着いた雰囲気があり又自然が豊かで、お互いに干渉しないで暮らしていけるのは緑がある恩恵ではないだろうか。今夏は特に酷暑が続き涼風と緑が恋しい。こんな時、飛び交う小鳥のさえずりや家々に咲く花、木立の奥から流れてくる心地良いピアノの音等が、心に涼風を送ってくれる。  勤めを終えて緑が丘で下車し、家に向かう道を自分で黄金の道と名付け、真っ赤な夕日に欅の大樹が影絵のように浮き出している景色から「風と共に去りぬ」のタラの光景を連想し、大いに感動した。後に風雨を問わず早朝清掃をなさっている浮田さんを知り、感謝すると共に私達も協力して美しい環境作りに努めようと心がけている。  植物好きの主人が藤の木を植えたところ、四方に枝が拡がり花と香り…