奥沢の「古い家」に学ぶ

奥沢2丁目には「奥沢海軍村ゆかりの風景」として世田谷地域風景資産に登録された、昭和初期の住宅が残っています。 それらに共通するのは、住宅のスケールになじんで一体感の感じられる緑の配置、自然を感じさせる素材と色彩、そして通りからの見え方を意識した風景づくりです。 このようなエッセンスを新しい建築にも活かしていきたいものです。  奥沢地区では住宅内の緑によって、落ち着いた住環境が保たれています。しかし残念なことに、時代の移り変わりとともに、緑が失われつつあります。 土とみどりを守る会では「景観木」や「街並み選奨」を選定し、平成16年には「奥沢・土とみどりの街づくり宣言」を締結しました。これらの取り組みの趣旨は今でも変わっていませんが、その対象とする範囲が限られていたので、より広い範囲にお住まいの方とアイデアを共有するために、このガイドを作りました。 これから奥沢に住まわれる方にもメッセージをお…

景観木とは

 景観木とは、街の目印となっていて、良好な風景と環境の創造に貢献している木です。会では、敷地の道路際にある景観木の保全を推奨しています。  建物を建て替えるとき、土地を更地にしてしまいますが、道路際にある木は建築のさまたげになりにくいので、建て替え時に継承しやすいです。会では、景観木の価値をオーナーに伝え、ご理解いただくことで継承していくことを目指しています。上の写真の左側の敷地のオーナーが代わり、家が建て替えられました。景観木に指定されていた左のヤマモモの木は残され、大ケヤキのある散歩道として地域風景資産に選定された風景が保全されました。右側の緑は、奥沢2丁目小さな森として登録されています。  花が咲く木、紅葉する木は、季節感のある風景をつくります。大きな木のみならず、街かどにある小さな木なども地域のシンボルになります。 会では、このような木を地域の共有財産として、皆でサポートするための…

開かれた庭

 ここで言う開かれた庭とは、通りから見える緑を増やすための、さまざまな工夫のことです。必ずしも大木、高木にこだわる必要はありません。 奥沢あたりは公園が少ないのに「緑が豊かだ」と言われます。それは、古い家、そして集合住宅の多くが、通りから見える緑を配しているからです。  このガイドで紹介している実例は、全て奥沢地区にあるものです。家を建てるとき、あるいは改装する時に、このような工夫をすることで、緑豊かな街並みを次の世代に引き継ぎたいものです。…

季節感のある街

玄関前のちょっとした空間が、和風、洋風、自然風など、住まい手の個性が感じられる風景を生み出しています。いわゆる旗竿状敷地の通路部分などでも、ちょっとした植栽やワンポイントとなる花を植えることで、風情のある露地空間を生み出すことができます。花や実のなる植物は、季節の変化の感じられる風景を生み出します。  敷地に余裕が無いと、高木での緑化はできないので、つる性植物による広がる緑化、道路脇のちょっとした隙間の土を活かした植栽など、あまり広い土地が無くてもできる緑化を推奨します。 …